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ここでスリッパに履き替える。
京都迎賓館の正面玄関は真正面からしか撮影できない。迎賓館の南門を入って、ここまで一切撮影禁止。
屋外で撮影可なのはこの場所の正面だけ。
内閣府職員やボランティア係員がそこいらじゅうにいて、真正面以外からカメラを構えようとすると飛んでくる。
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美濃紙を使っている。
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聚楽の間は待合というかロビー溜り。
早川尚古齋(人間国宝)作の竹花器と生花が目をひく。
竹花器は「重ね編剣菱紋花藍(かご)」と命名されている。テーブルは不窮斎高野宗陵作「色漆網銘板」。
イスの布地は西陣織。
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こうした額絵は定期的もしくは不定期に替わる。
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上の行灯とは別の場所。
館内の明障子(あかりしょうじ)の数は430枚という。障子の幅、高さは通常の障子と較べてかなり大きい。
釘を使わずホゾを組み合わせ、木板を差し合わせる木工芸を指物(さしもの)という。この行灯や「藤の間」天井の照明は
京指物の粋があつめられている。
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「夕映の間」壁面は愛宕山と比叡山の織物(綴織り)。それぞれ「愛宕夕照」、「比叡月映」と名づけられている。
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洛中東西に位置する比叡山、愛宕山の夕景を「夕映の間」に配し、天井に仕組んだ照明の明暗による演出は
国賓にも評価されるだろう。が、そういう演出をボランティアガイドが説明するだけでは不十分。見学者にも見せるべきだ。
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窓外右に見える廊橋からの撮影は禁止されている。見学者はガラス越しに撮影するしかない。
それは京都迎賓館に徹底されていて、屋外からの撮影はすべて禁止。一番おいしいところは食べさせないということである。
ここは中国か、それとも北朝鮮か。
廊橋担当のボランティアにはセキュリティ上の問題と言わせているが、どうだか。
桂離宮のように撮影に夢中になった人間が橋から落ちるとか、カメラを池に落とすとかの問題はあるかもしれないけれど。
内閣府職員はセキュリティ内容の説明をボランティアにしておらず、彼らはオウムのごとくセキュリティの問題と繰り返す。
池の下に秘密の通路でもあるのか。地下道の換気口が水面のどこかに出ているとでもいうのか。
それにしても、迎賓館のコンセプト「庭屋一如」がきいてあきれる。
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伊砂利彦作の型染屏風。以前は聚楽の間にあった。イメージを型絵にして染める技法が型染。
ものの本によると、「型染と呼ばれる染色技法は、何枚にも張り合わせた美濃紙を燻製にして防水性を高め、
その紙に型を彫り、型の部分に防染糊をつけて染める染色法。奈良時代以来の技法で、着物の小紋文様
で知られる技術」。
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通路、室内など館内はすべてストロボ類使用禁止。カメラの持ち込みは一人に一台。三脚は当然禁止。
カメラの持ち込み一人一台は何らかの方法で事前に知らせるべきである。そうしないのがいかにも役人。
見学者が手にしているのは入口で配布される迎賓館のパンフレット。それ以外(カメラ一台は持ち込み可)
はロッカーに預けねばならない。
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藤の間は晩餐室。
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「藤の間」壁面の綴織り「麗花」は幅16、6メートル、高さ3、1メートル。39種類の草花が織り込まれている。
床の絨毯は「麗花」の藤の花びらが舞い散ったかのような意匠。
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美濃紙を使った行灯ふう光天井。メンテナンス用昇降機能により15パターンに変化するという。
前述のとおり照明の板木は京指物。
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舞台を仕切る6枚のひのき扉には截金(きりかね)が施されている。
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見てのとおり、太さ、撚りを厳選し染色された400色の絹糸と、金糸、プラチナ糸が使われている。
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料亭の食器と同じく、古くなる前に入れ替わる。日本料理は京都の料亭が持ち回りで担当する。
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「桐の間」天井はスギの一枚板、長さ12メートル。夕映の間や藤の間とちがって入室不可。
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漆の一枚仕上げ、長さ12メートルの座卓がでんと置かれ、イスも漆塗。座卓下は掘炬燵式。
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「琵琶の間」近くにある行灯。琵琶の間は茶室(イス式)として、あるいは待合として使われる。琵琶の間は撮影禁止。
行灯の背後の壁はこのあたりから出土した京さび土で仕上げている。迎賓館はコンクリート造りのため両面から塗れない。
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奈良時代に伝わった唐織が平安期に日本風になり、公家の装束に用いられた織物を有職織という。
この袿(うちぎ)は室町期から続く京の機家(はたや)「俵屋」が織った。
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「水明の間」に通じる廊下に置かれている磁器。置物も不定期に替わる。
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「水明の間」では首脳会談がおこなわれるという。天井は舟底天井、床は青海波。
照明器具の木枠は吉野杉、紙は美濃紙。水明の間も入室できない。
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池が浅いこともあって、舟は舟底が平の「くらわんか舟」。ここもガラス越し撮影。
※「くらわんか舟」=くらわんか餅を舟のなかで作り、沿岸の人に売っていたという舟※
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京都迎賓館を見学して思ったことは、一年で最も暑い8月上旬の数日間だけ見学させるなどと、内閣府は
何を考えているかということだ。
国賓、政治家、諸々の関係者だけご馳走を食べてもらい、国民は真夏に残りものを食べるだけ。
英国とは大違いである。税金で建てた迎賓館であってみれば、気候のいい4月とか11月あたりにも
参観日を設定してしかるべきだろう。
宮内庁所轄の桂離宮、修学院離宮、仙洞御所などは年がら年中参観日を設けている。
京都迎賓館ができて今年で10年になるというのに、内閣府のサービス精神の欠如はいかんともしがたい。
内閣府側がどんな御託を並べても、見学者のなかにはそう思う人はいるし、ボランティアのなかには
屋外撮影禁止に賛同できないと言う人はいる。
賓客、国賓を迎える館ということだが、中国とかロシアの首脳が国賓の名にふさわしいかどうか
きわめて疑わしい。国賓とは特別な友人や同盟国の首脳に冠せられるべきものだろう。
内閣府の役人・職員はなにを心得ちがいしているのか賓客には平身低頭、国民には偉そうにしている
だけではないか。
年間何日来訪または宿泊する国賓がいるのだろう。宿泊は一泊、年間の国賓は数回といったところである。
迎賓館に招かれた国賓は帰国後なにを思うだろう。迎賓館を誇りと思うだろうか。
建築・工芸の粋をきわめた建物でも彼らにとって自国の持ち物ではない。
見学して絢爛豪華を理解するのは日本国民である。建物本体工事に200億円以上の税金を投入したのだ。
陛下がご自分の意見を言えるなら、国民に開かれた迎賓館であれかしとおっしゃるのではないでしょうか。
ほんとうの賓客は国民なのです。
☆以上は2015年8月6日アップ時の一文☆
2016年3月、政府は2016年7月下旬から通年一般公開の開始を発表し、7月21日一般公開がスタートした。
ところが二種類の参観に分かれ、ガイド付は1500円、ガイドなしでも1000円の参観料金を支払わねばならない。
公開エリアは従前と変わりなし。職員はほとんどがボランティア。
税金で建てた場所で課金される。課金するならガイドなし300円、ガイド付500円程度が妥当だろう。
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